イチョウ葉エキスはアルツハイマー型認知症に効くの?
認知症(アルツハイマー型認知症) - 2010年10月22日 (金)
イチョウは、中国原産で、日本でも数多く栽培されている落葉高木です。
中国や日本では種子を漢方として古くから利用しており、中国では紀元前2600年に既に喘息や気管支炎に用いていたという記録があります。
イチョウの中国語名は「銀杏」、「白果」、「公孫樹」であり、中薬ではその種子のみを用いています。
近年、ヨーロッパではイチョウ葉の有効性に関する多くの研究が行われ、イチョウ葉エキスは、俗に「血液循環を良くする」、「ボケを予防する」などといわれ、老人性の循環器系および神経系疾患等に対しては、一部にヒトでの有効性が示唆されています。
・アルツハイマー、脳血管性および混合型の痴呆に対し、イチョウ葉製剤は経口摂取で有効性が示唆されています。さまざまなタイプの痴呆において、3ヶ月から1年間イチョウ葉を経口摂取したところ、認識能力や社会適応性を示す指標が維持または改善されたと報告されています。この疾患における有効性に反する報告があるが、ほとんどの知見では治療に何らかの助けになるとしています。
・脳梗塞後遺症者を対象とし、イチョウ葉エキスを含む錠剤を摂取させたところ、全ての患者で症状の改善又は改善傾向が見られたという予備的な報告があります。この現象については更なる検証が必要です。
・慢性期脳梗塞患者を対象とし、イチョウ葉エキスを4週間摂取させたところ、自覚症状(頭痛、抑鬱、自発性の低下など)や低血流部位への脳血流の増加が認められたという予備的な報告があります。この現象については更なる検証が必要です。
・症状の進行に対する効果についてはまだ立証されていません。また、一般の痴呆薬と直接比較した試験はまだありませんが、その効果はドネペジルやタクリンといった処方薬や他のコリンエステラーゼ阻害剤とおそらく同程度であるという報告もあります。
・ドイツではイチョウ葉製剤を痴呆の選択薬の一つとしている開業医もいます。
・やや記憶力が衰え始めた年配者において、認識能力(とくに一瞬見たものの記憶力や認識処理速度)を向上させるのに、葉製剤の経口摂取で有効性が示唆されています。この作用に関しては、一部を除き、ほとんどの知見で何らかの効果が期待できるとしています。
・複数の無作為割付臨床試験を統合した複数のシステマティック・レビューによると、イチョウ葉エキスで認知機能が改善した。治療の認容性は良好であるとの報告があります。
・健康な高齢者の記憶の向上に対しては、経口摂取で効果がないことが示唆されています。正常の精神機能を持つ60歳以上の成人が葉エキスを摂取したが、記憶に改善はみられませんでした。
・記憶力が正常な85歳以上の高齢者を対象とした無作為化二重盲検プラセボコントロール試験において、イチョウ葉エキスを42ヶ月摂取させたところ、コンプライアンス(服薬遵守。処方された薬を指示どおりに服用すること)を考慮すると臨床的認知症尺度(Clinical Dementia Rating)による進行リスク低減と記憶スコアの減少抑制が認められたという予備的な報告があります。
・健康な成人における認識能力(記憶力や認識処理速度)を向上させるのに、葉製剤の経口摂取で有効性が示唆されています。記憶力の減退を訴えない成人において、記憶や認識処理速度などの認識能力が改善したという知見があります。
・2007年1月までを対象に、6つのデータベースで検索可能な無作為化比較試験15報について検討したシステマティックレビューにおいて、60歳以下の健常人によるイチョウ葉エキスの摂取(規格化品を最大360mgまで単回あるいは2日-13日)には、認知能を向上させる効果は認められなかったという報告があります。
・認知症や神経疾患のない高齢男女を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、イチョウ葉サプリメントを4ヶ月間摂取させたところ、認知機能、QOL、血小板機能に効果は見られなかったという報告があります。
・健常もしくは軽度認知症の高齢者3,069名(75歳以上、試験群1,545名)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、イチョウ葉エキスを平均6.1年間摂取させたところ、認知症やアルツハイマー症の発症リスク、軽度認知症の進行率に効果は認められなかったという報告gあります。
・55歳以上の男女を対象とした二重盲検並行群間無作為化プラセボ比較試験において、イチョウ葉エキスを6ヶ月間摂取させたところ、認知機能(ADAS-Cog)および全般的QOL(QOL-AD,自己評価および介護者の評価による)に影響は認められなかったという報告があります。
・健常な若い男女を対象とした無作為化二重盲検クロスオーバー試験において、イチョウ葉エキスを単回摂取させたところ、摂取後の記憶の質および二次記憶、反応速度に関するスコアが改善したという報告があります。
・加齢黄班変性に対し、葉製剤の経口摂取で有効性が示唆されています。
ドイツのコミッションE(ドイツの薬用植物の評価委員会)は、記憶障害、耳鳴り、めまいの改善に対するイチョウ葉抽出物の使用を承認しています。
安全性については、出血傾向、まれに胃腸障害、アレルギー反応を起こすことがありますが、規格化されたイチョウ葉製剤は適切に用いれば経口摂取でおそらく安全と思われます。
ただし、市場には品質に自主規格基準のある医薬品グレードのものと規格のない粗悪品も混在しているので注意が必要です。特にイチョウ葉中に含まれるギンコール酸はアレルギーを起こすことから、規格品ではその含量が5ppm以下に規制されています。
循環器・呼吸器への有用性
・ ドイツのコミッションE(ドイツの
薬用植物の評価委員会)では末梢の動脈閉鎖症の患者の歩行時の痛みを改善する目的での使用が承認されています。葉の製剤の経口摂取で、末梢の動脈閉鎖症の患者が痛みを感じずに歩行できる距離を延ばすのに、有効性が示唆されています。
・収縮期血圧140mmHgもしくは拡張期血圧85mmHg以上の高血圧患者を対象とし、イチョウ葉抽出物を含む飲料を12週間摂取させたところ、血圧と血中尿酸濃度が低下したという報告があります。
・末梢動脈疾患(PAD)患者を対象とした二重盲検並行群間無作為化プラセボ比較試験において、イチョウ葉エキス錠を4ヶ月間摂取したところ、トレッドミル最長歩行時間および痛みを伴わない歩行時間、血流依存血管拡張反応(FMD)、抗酸化能、歩行障害、生活の質に効果は認められなかったという報告もあります。
糖尿病・内分泌への有用性
糖尿病由来の網膜症において、色認識の改善に葉製剤の経口摂取は有効性が示唆されています。
生殖・泌尿器への有用性
月経前症候群(PMS)に対して、葉製剤の経口摂取で有効性が示唆されています。
脳・神経・感覚器への有用性
・ ドイツのコミッションE(ドイツの薬用植物の評価委員会)では葉の抽出液は、一次性変性痴呆症と血管性痴呆症のいずれにも効果があり、記憶障害、集中力の欠如、感情の抑うつ状態、耳鳴り、めまい、頭痛などを改善する目的で承認されています。
・めまい、平衡感覚障害に対し、葉製剤の経口摂取で有効性が示唆されています。これらの症状に対する葉製剤は、プラセボと比較して有意に効果が見られたという臨床知見と、その効果はベタヒスチンに匹敵するという臨床知見があります。ドイツのコミッションE(ドイツの薬用植物の評価委員会)ではめまいと耳鳴りへの使用が承認されています。
・糖尿病由来の網膜症において、色認識の改善に葉製剤の経口摂取で有効性が示唆されています。
・耳鳴りに対して、葉製剤の経口摂取は効果がないことが示唆されています。
・正常圧の緑内障の治療に葉製剤の経口摂取は有効性が示唆されています。
・冬季うつ病の予防に、葉製剤は効果がないことが示唆されています。
・慢性治療抵抗性統合失調症を対象とした無作為化プラセボ比較試験において、クロザピン(抗精神病薬)の投与とイチョウ葉エキスを12週間併用させたところ、簡易精神症状評価尺度(BPRS)と陽性症状評価尺度(SAPS)に効果は認められなかったが、陰性症状評価尺度(SANS)の低下が認められたという報告があります。
その他
・高山病の予防に葉製剤の経口摂取で有効性が示唆されている。登山中に、イチョウ葉製剤を一日二回服用したところ、高山病の症状発現(頭痛、疲労、呼吸困難、吐き気、嘔吐)を有意に抑えたという報告があります。また耐寒性も23%改善したといいいます。
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中国や日本では種子を漢方として古くから利用しており、中国では紀元前2600年に既に喘息や気管支炎に用いていたという記録があります。
イチョウの中国語名は「銀杏」、「白果」、「公孫樹」であり、中薬ではその種子のみを用いています。
近年、ヨーロッパではイチョウ葉の有効性に関する多くの研究が行われ、イチョウ葉エキスは、俗に「血液循環を良くする」、「ボケを予防する」などといわれ、老人性の循環器系および神経系疾患等に対しては、一部にヒトでの有効性が示唆されています。
・アルツハイマー、脳血管性および混合型の痴呆に対し、イチョウ葉製剤は経口摂取で有効性が示唆されています。さまざまなタイプの痴呆において、3ヶ月から1年間イチョウ葉を経口摂取したところ、認識能力や社会適応性を示す指標が維持または改善されたと報告されています。この疾患における有効性に反する報告があるが、ほとんどの知見では治療に何らかの助けになるとしています。
・脳梗塞後遺症者を対象とし、イチョウ葉エキスを含む錠剤を摂取させたところ、全ての患者で症状の改善又は改善傾向が見られたという予備的な報告があります。この現象については更なる検証が必要です。
・慢性期脳梗塞患者を対象とし、イチョウ葉エキスを4週間摂取させたところ、自覚症状(頭痛、抑鬱、自発性の低下など)や低血流部位への脳血流の増加が認められたという予備的な報告があります。この現象については更なる検証が必要です。
・症状の進行に対する効果についてはまだ立証されていません。また、一般の痴呆薬と直接比較した試験はまだありませんが、その効果はドネペジルやタクリンといった処方薬や他のコリンエステラーゼ阻害剤とおそらく同程度であるという報告もあります。
・ドイツではイチョウ葉製剤を痴呆の選択薬の一つとしている開業医もいます。
・やや記憶力が衰え始めた年配者において、認識能力(とくに一瞬見たものの記憶力や認識処理速度)を向上させるのに、葉製剤の経口摂取で有効性が示唆されています。この作用に関しては、一部を除き、ほとんどの知見で何らかの効果が期待できるとしています。
・複数の無作為割付臨床試験を統合した複数のシステマティック・レビューによると、イチョウ葉エキスで認知機能が改善した。治療の認容性は良好であるとの報告があります。
・健康な高齢者の記憶の向上に対しては、経口摂取で効果がないことが示唆されています。正常の精神機能を持つ60歳以上の成人が葉エキスを摂取したが、記憶に改善はみられませんでした。
・記憶力が正常な85歳以上の高齢者を対象とした無作為化二重盲検プラセボコントロール試験において、イチョウ葉エキスを42ヶ月摂取させたところ、コンプライアンス(服薬遵守。処方された薬を指示どおりに服用すること)を考慮すると臨床的認知症尺度(Clinical Dementia Rating)による進行リスク低減と記憶スコアの減少抑制が認められたという予備的な報告があります。
・健康な成人における認識能力(記憶力や認識処理速度)を向上させるのに、葉製剤の経口摂取で有効性が示唆されています。記憶力の減退を訴えない成人において、記憶や認識処理速度などの認識能力が改善したという知見があります。
・2007年1月までを対象に、6つのデータベースで検索可能な無作為化比較試験15報について検討したシステマティックレビューにおいて、60歳以下の健常人によるイチョウ葉エキスの摂取(規格化品を最大360mgまで単回あるいは2日-13日)には、認知能を向上させる効果は認められなかったという報告があります。
・認知症や神経疾患のない高齢男女を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、イチョウ葉サプリメントを4ヶ月間摂取させたところ、認知機能、QOL、血小板機能に効果は見られなかったという報告があります。
・健常もしくは軽度認知症の高齢者3,069名(75歳以上、試験群1,545名)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、イチョウ葉エキスを平均6.1年間摂取させたところ、認知症やアルツハイマー症の発症リスク、軽度認知症の進行率に効果は認められなかったという報告gあります。
・55歳以上の男女を対象とした二重盲検並行群間無作為化プラセボ比較試験において、イチョウ葉エキスを6ヶ月間摂取させたところ、認知機能(ADAS-Cog)および全般的QOL(QOL-AD,自己評価および介護者の評価による)に影響は認められなかったという報告があります。
・健常な若い男女を対象とした無作為化二重盲検クロスオーバー試験において、イチョウ葉エキスを単回摂取させたところ、摂取後の記憶の質および二次記憶、反応速度に関するスコアが改善したという報告があります。
・加齢黄班変性に対し、葉製剤の経口摂取で有効性が示唆されています。
ドイツのコミッションE(ドイツの薬用植物の評価委員会)は、記憶障害、耳鳴り、めまいの改善に対するイチョウ葉抽出物の使用を承認しています。
安全性については、出血傾向、まれに胃腸障害、アレルギー反応を起こすことがありますが、規格化されたイチョウ葉製剤は適切に用いれば経口摂取でおそらく安全と思われます。
ただし、市場には品質に自主規格基準のある医薬品グレードのものと規格のない粗悪品も混在しているので注意が必要です。特にイチョウ葉中に含まれるギンコール酸はアレルギーを起こすことから、規格品ではその含量が5ppm以下に規制されています。
循環器・呼吸器への有用性
・ ドイツのコミッションE(ドイツの
薬用植物の評価委員会)では末梢の動脈閉鎖症の患者の歩行時の痛みを改善する目的での使用が承認されています。葉の製剤の経口摂取で、末梢の動脈閉鎖症の患者が痛みを感じずに歩行できる距離を延ばすのに、有効性が示唆されています。
・収縮期血圧140mmHgもしくは拡張期血圧85mmHg以上の高血圧患者を対象とし、イチョウ葉抽出物を含む飲料を12週間摂取させたところ、血圧と血中尿酸濃度が低下したという報告があります。
・末梢動脈疾患(PAD)患者を対象とした二重盲検並行群間無作為化プラセボ比較試験において、イチョウ葉エキス錠を4ヶ月間摂取したところ、トレッドミル最長歩行時間および痛みを伴わない歩行時間、血流依存血管拡張反応(FMD)、抗酸化能、歩行障害、生活の質に効果は認められなかったという報告もあります。
糖尿病・内分泌への有用性
糖尿病由来の網膜症において、色認識の改善に葉製剤の経口摂取は有効性が示唆されています。
生殖・泌尿器への有用性
月経前症候群(PMS)に対して、葉製剤の経口摂取で有効性が示唆されています。
脳・神経・感覚器への有用性
・ ドイツのコミッションE(ドイツの薬用植物の評価委員会)では葉の抽出液は、一次性変性痴呆症と血管性痴呆症のいずれにも効果があり、記憶障害、集中力の欠如、感情の抑うつ状態、耳鳴り、めまい、頭痛などを改善する目的で承認されています。
・めまい、平衡感覚障害に対し、葉製剤の経口摂取で有効性が示唆されています。これらの症状に対する葉製剤は、プラセボと比較して有意に効果が見られたという臨床知見と、その効果はベタヒスチンに匹敵するという臨床知見があります。ドイツのコミッションE(ドイツの薬用植物の評価委員会)ではめまいと耳鳴りへの使用が承認されています。
・糖尿病由来の網膜症において、色認識の改善に葉製剤の経口摂取で有効性が示唆されています。
・耳鳴りに対して、葉製剤の経口摂取は効果がないことが示唆されています。
・正常圧の緑内障の治療に葉製剤の経口摂取は有効性が示唆されています。
・冬季うつ病の予防に、葉製剤は効果がないことが示唆されています。
・慢性治療抵抗性統合失調症を対象とした無作為化プラセボ比較試験において、クロザピン(抗精神病薬)の投与とイチョウ葉エキスを12週間併用させたところ、簡易精神症状評価尺度(BPRS)と陽性症状評価尺度(SAPS)に効果は認められなかったが、陰性症状評価尺度(SANS)の低下が認められたという報告があります。
その他
・高山病の予防に葉製剤の経口摂取で有効性が示唆されている。登山中に、イチョウ葉製剤を一日二回服用したところ、高山病の症状発現(頭痛、疲労、呼吸困難、吐き気、嘔吐)を有意に抑えたという報告があります。また耐寒性も23%改善したといいいます。
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