DHA(ドコサヘキサン酸)はアルツハイマー型認知症にいいの?
認知症(アルツハイマー型認知症) - 2010年10月22日 (金)
DHAは、炭素数が22、不飽和結合が6のn-3系の直鎖の多価不飽和脂肪酸で、EPA(エイコサペンタエン酸)と同様、主に魚に含まれる必須脂肪酸の一つです。
生体内では脳や神経組織、精子などに多く存在し、俗に「動脈硬化、高脂血症、認知症等の予防や改善によい」、「アトピー、アレルギー等によい」、「脳の発達によい」、「がんの発生や転移に効果がある」などといわれています。
ヒトでの有効性については、冠状動脈疾患に対して有効性が示唆されています。「中性脂肪が気になる方の食品」という表示で、DHAを関与成分とした特定保健用食品が許可されています。
安全性については、適切に用いれば経口摂取でおそらく安全と思われますが、大量摂取はよくないとされています
。DHAやEPAを含む魚油では、副作用として、げっぷ、吐き気、鼻血、軟便が報告されています。
妊娠中・授乳中の安全性については十分なデータがないため、魚などの食品や特別用途食品(特定保健用食品を含む)として摂取する以外の使用は避けることとされています。また、米国FDAの限定的健康表示規格 においては、サプリメントからの摂取はDHAとEPAを合わせて1日2gを超えないようにとされています。
DHAを含む食品としてはまぐろ、かつお、はまち・ぶり、さば、いわし、すじこなどがあります。
脳・神経・感覚器に対して
・ ストレスを受けている人の攻撃的な行動を抑えるのに、経口摂取で有効性が示唆されています。
・成人を対象とした二重盲検試験において、DHAを9週間摂取させ、20項目以上のストレスを負荷させたところ、ストレスの指標となる血漿中のノルエピネフリン濃度が減少し、エピネフリン/ノルエピネフリン比が増加したという報告があります。
・統合運動障害の小児における運動障害の改善に、ツキミソウ油、タイム油、ビタミンEとの組み合わせで、経口摂取で有効性が示唆されています。小規模な臨床試験の結果、これらの組み合わせ摂取により、小児患者のおける運動障害に客観的な改善がみられたという報告があります。
・小児の注意欠陥多動性障害(ADHD)に対して、経口摂取で効果がないことが示唆されています。小児のADHDは血中DHAレベルの低さと関連がありますが、DHAを1日あたり345mg摂取しても症状に改善はみられなかったという報告があります。
・DHAは、脳をはじめとする神経組織に多く含まれ、それらの発育や機能維持に重要な役割を果たす事が報告されています。また、DHAやアラキドン酸はα-リノレン酸やリノール酸より、20倍速く生体組織の脂質に組み込まれるとの報告があります。
・早産児における生後の視覚的注意力の向上に、経口摂取で有効性が示唆されています。
・6ヶ月齢の満期出生母乳栄養児55人を対象としたプラセボ比較試験において、DHAを含む卵黄を含有する離乳食を与えた結果、12ヶ月齢での視覚機能が向上したという報告があります。一方、満期出生児にDHA(総脂肪酸中0.10~0.34%)とアラキドン酸(総脂肪酸中0.34-0.46%)を添加した調整乳を与えた研究では、コントロール群と比べ、視覚機能の有意な向上は認められなかったという報告があります。
・失読症(読書障害)の小児における夜間視力の向上に、経口摂取で有効性が示唆されている。DHA高含有の魚油を摂取した患者は、対照群と比較して暗所順応力が有意に向上したという知見があります。
・加齢黄斑変性の予防に経口摂取で有効性が示唆されています。
・アルツハイマー病の患者174名を対象とした、無作為化二重盲検試験において、魚油カプセル(1720 mg DHA、600 mg EPA含有)または等カロリーのプラセボ(2.4 gリノール酸含有)を6ヶ月間摂取させた結果、ミニメンタルステート検査および臨床痴呆評価尺度による認知能の低下には差がなかったという報告があります。
・平均年齢76±5歳の高齢者男女899名を対象とした、平均9.1年間(最長16年間)の前向き追跡研究において、血漿中DHAなどの濃度を測定した結果、血漿中DHA濃度が高い人では認知症の発生率が低かったという報告があります。
以上のことから、DHA(ドコサヘキサン酸)が認知症に効きそうな可能性はありますが、アルツハイマー型認知症を含めて十分なエビデンスはまだまだ不足しているようです。
・裸眼の静止視力が左右共に1.0以上の大学生男子スポーツ選手を対象とした二重盲検試験において、DHAを35日間摂取させたところ、両眼の動体視力が0.87から0.97へと向上したという報告があります。
・高齢者を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、DHAとEPAを26週間摂取させたところ、不安・抑うつ尺度(評価指標:CES-D、MADRAS、GDS-15、HADS-A)には影響しなかったという報告があります 。
循環器・呼吸器に対して
・冠状動脈疾患に対して、経口摂取で有効性が示唆されています。冠状動脈疾患患者が食事から摂取するDHAを増やすと、死亡するリスクが低減するという知見があります。
・DHA、EPA、α-リノレン酸などのオメガ3系(n-3系)脂肪酸が総死亡率、心血管系イベント発生率(心筋梗塞や狭心症など)、がんの発生率に及ぼす影響について検討したシステマチックレビュー(系統的総説)があります 。
48報の無作為化比較試験と41報のコホート試験をメタアナリシスした結果、オメガ3系脂肪酸には総死亡率、心血管系イベント、がん発生率を低減する効果は認められなかった。
・埋め込み型除細動器(ICD)を利用している患者を対象としたランダム化二重盲検比較試験において、魚油カプセル(EPA 464mg、DHA 335mg含有)を約365日間摂取させたところ、不整脈発作の再発や全死亡の発生を低減する効果は認められなかったという報告がある。
・DHAおよびEPAを関与成分とし、「中性脂肪を低下させる作用のあるEPA、DHAを含んでおりますので、中性脂肪が気になる方に適します」などの表示が許可された特定保健用食品があります。
・中性脂肪値が100-330 mg/dLの成人を対象とした二重盲検試験において、DHAを12週間摂取させたところ、血中中性脂肪、RLPコレステロールが低下したという報告があります。
・中等度脂質異常症の男性を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、DHAを90日間摂取させたところ、トリグリセリド、最高血圧、心拍数の減少が認められたという報告があります。
安全性情報
適切に用いれば経口でおそらく安全と思われますが、大量摂取はよくないとされています。1日3g以上の摂取で、凝血能が低下し出血傾向が起きることがあります。
小児では適切に用いれば安全性が示唆されています。
妊娠中・授乳中の安全性については、適切に経口で使用する場合は恐らく安全と思われます。
DHA単独では経口摂取の副作用は報告されていない。しかしEPA、DHAを含む魚油では、げっぷ、吐き気、鼻血、軟便が知られています。
アトピー性皮膚炎の既往歴のある27歳女性と25歳男性がDHA・EPA含有栄養剤使用後に滲出性紅斑が出現し、使用を中止すると症状が改善したという報告があります。
医薬品等との相互作用
・魚油の多量摂取によって凝血能が低下(血小板凝集抑制作用があるため凝血能が低下)することがあります。抗凝血作用のあるハーブやサプリメント、医薬品との併用および、出血傾向の高い人は注意した方がよいとされています。
・DHA含有魚油は、血圧を下げることがあります。
・臨床検査値では(インスリン、トリグリセリド、コレステロール、プロトロンビン時間、肺機能試験)に影響を与えることがあります。
・他の食品との相互作用はとくに知られていません。
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生体内では脳や神経組織、精子などに多く存在し、俗に「動脈硬化、高脂血症、認知症等の予防や改善によい」、「アトピー、アレルギー等によい」、「脳の発達によい」、「がんの発生や転移に効果がある」などといわれています。
ヒトでの有効性については、冠状動脈疾患に対して有効性が示唆されています。「中性脂肪が気になる方の食品」という表示で、DHAを関与成分とした特定保健用食品が許可されています。
安全性については、適切に用いれば経口摂取でおそらく安全と思われますが、大量摂取はよくないとされています
。DHAやEPAを含む魚油では、副作用として、げっぷ、吐き気、鼻血、軟便が報告されています。
妊娠中・授乳中の安全性については十分なデータがないため、魚などの食品や特別用途食品(特定保健用食品を含む)として摂取する以外の使用は避けることとされています。また、米国FDAの限定的健康表示規格 においては、サプリメントからの摂取はDHAとEPAを合わせて1日2gを超えないようにとされています。
DHAを含む食品としてはまぐろ、かつお、はまち・ぶり、さば、いわし、すじこなどがあります。
脳・神経・感覚器に対して
・ ストレスを受けている人の攻撃的な行動を抑えるのに、経口摂取で有効性が示唆されています。
・成人を対象とした二重盲検試験において、DHAを9週間摂取させ、20項目以上のストレスを負荷させたところ、ストレスの指標となる血漿中のノルエピネフリン濃度が減少し、エピネフリン/ノルエピネフリン比が増加したという報告があります。
・統合運動障害の小児における運動障害の改善に、ツキミソウ油、タイム油、ビタミンEとの組み合わせで、経口摂取で有効性が示唆されています。小規模な臨床試験の結果、これらの組み合わせ摂取により、小児患者のおける運動障害に客観的な改善がみられたという報告があります。
・小児の注意欠陥多動性障害(ADHD)に対して、経口摂取で効果がないことが示唆されています。小児のADHDは血中DHAレベルの低さと関連がありますが、DHAを1日あたり345mg摂取しても症状に改善はみられなかったという報告があります。
・DHAは、脳をはじめとする神経組織に多く含まれ、それらの発育や機能維持に重要な役割を果たす事が報告されています。また、DHAやアラキドン酸はα-リノレン酸やリノール酸より、20倍速く生体組織の脂質に組み込まれるとの報告があります。
・早産児における生後の視覚的注意力の向上に、経口摂取で有効性が示唆されています。
・6ヶ月齢の満期出生母乳栄養児55人を対象としたプラセボ比較試験において、DHAを含む卵黄を含有する離乳食を与えた結果、12ヶ月齢での視覚機能が向上したという報告があります。一方、満期出生児にDHA(総脂肪酸中0.10~0.34%)とアラキドン酸(総脂肪酸中0.34-0.46%)を添加した調整乳を与えた研究では、コントロール群と比べ、視覚機能の有意な向上は認められなかったという報告があります。
・失読症(読書障害)の小児における夜間視力の向上に、経口摂取で有効性が示唆されている。DHA高含有の魚油を摂取した患者は、対照群と比較して暗所順応力が有意に向上したという知見があります。
・加齢黄斑変性の予防に経口摂取で有効性が示唆されています。
・アルツハイマー病の患者174名を対象とした、無作為化二重盲検試験において、魚油カプセル(1720 mg DHA、600 mg EPA含有)または等カロリーのプラセボ(2.4 gリノール酸含有)を6ヶ月間摂取させた結果、ミニメンタルステート検査および臨床痴呆評価尺度による認知能の低下には差がなかったという報告があります。
・平均年齢76±5歳の高齢者男女899名を対象とした、平均9.1年間(最長16年間)の前向き追跡研究において、血漿中DHAなどの濃度を測定した結果、血漿中DHA濃度が高い人では認知症の発生率が低かったという報告があります。
以上のことから、DHA(ドコサヘキサン酸)が認知症に効きそうな可能性はありますが、アルツハイマー型認知症を含めて十分なエビデンスはまだまだ不足しているようです。
・裸眼の静止視力が左右共に1.0以上の大学生男子スポーツ選手を対象とした二重盲検試験において、DHAを35日間摂取させたところ、両眼の動体視力が0.87から0.97へと向上したという報告があります。
・高齢者を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、DHAとEPAを26週間摂取させたところ、不安・抑うつ尺度(評価指標:CES-D、MADRAS、GDS-15、HADS-A)には影響しなかったという報告があります 。
循環器・呼吸器に対して
・冠状動脈疾患に対して、経口摂取で有効性が示唆されています。冠状動脈疾患患者が食事から摂取するDHAを増やすと、死亡するリスクが低減するという知見があります。
・DHA、EPA、α-リノレン酸などのオメガ3系(n-3系)脂肪酸が総死亡率、心血管系イベント発生率(心筋梗塞や狭心症など)、がんの発生率に及ぼす影響について検討したシステマチックレビュー(系統的総説)があります 。
48報の無作為化比較試験と41報のコホート試験をメタアナリシスした結果、オメガ3系脂肪酸には総死亡率、心血管系イベント、がん発生率を低減する効果は認められなかった。
・埋め込み型除細動器(ICD)を利用している患者を対象としたランダム化二重盲検比較試験において、魚油カプセル(EPA 464mg、DHA 335mg含有)を約365日間摂取させたところ、不整脈発作の再発や全死亡の発生を低減する効果は認められなかったという報告がある。
・DHAおよびEPAを関与成分とし、「中性脂肪を低下させる作用のあるEPA、DHAを含んでおりますので、中性脂肪が気になる方に適します」などの表示が許可された特定保健用食品があります。
・中性脂肪値が100-330 mg/dLの成人を対象とした二重盲検試験において、DHAを12週間摂取させたところ、血中中性脂肪、RLPコレステロールが低下したという報告があります。
・中等度脂質異常症の男性を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、DHAを90日間摂取させたところ、トリグリセリド、最高血圧、心拍数の減少が認められたという報告があります。
安全性情報
適切に用いれば経口でおそらく安全と思われますが、大量摂取はよくないとされています。1日3g以上の摂取で、凝血能が低下し出血傾向が起きることがあります。
小児では適切に用いれば安全性が示唆されています。
妊娠中・授乳中の安全性については、適切に経口で使用する場合は恐らく安全と思われます。
DHA単独では経口摂取の副作用は報告されていない。しかしEPA、DHAを含む魚油では、げっぷ、吐き気、鼻血、軟便が知られています。
アトピー性皮膚炎の既往歴のある27歳女性と25歳男性がDHA・EPA含有栄養剤使用後に滲出性紅斑が出現し、使用を中止すると症状が改善したという報告があります。
医薬品等との相互作用
・魚油の多量摂取によって凝血能が低下(血小板凝集抑制作用があるため凝血能が低下)することがあります。抗凝血作用のあるハーブやサプリメント、医薬品との併用および、出血傾向の高い人は注意した方がよいとされています。
・DHA含有魚油は、血圧を下げることがあります。
・臨床検査値では(インスリン、トリグリセリド、コレステロール、プロトロンビン時間、肺機能試験)に影響を与えることがあります。
・他の食品との相互作用はとくに知られていません。
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